スマートスタジアムとは?メリットや海外事例を紹介

近年、スポーツ分野においても「観客の観戦体験の向上」や「スタジアムの利便性の向上」が、より一層求められるようになりました。

また、海外を中心にスマートスタジアムやスマートアリーナが建設され、大きな成果を得ています。

一方で、これらのスタジアムやアリーナには、いくつかの課題や問題点もあります。

そこで本記事では、スマートスタジアムのメリットやデメリットを解説し、海外のスタジアムやアリーナの事例を紹介します。


▶記事監修者:古谷 有騎氏
スポーツモチベーション所属トップトレーナー
PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー
米国スポーツ医学会認定 運動生理学士(ACSM/EP-C)

東京神楽坂・会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」で幅広い年代のクライアントの運動指導を行う。青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。
その他にも『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)の出演、NHK文化センターの講師、書籍では『肩こり・腰痛 速効!かんたん体操』(コスミック出版)の構成を担当するなど、活動の幅を広げている。



スマートスタジアムとは何か?基本技術など

スマートスタジアムとは、最新のICT技術を駆使して観客体験を革新的に向上させる次世代型スポーツ施設です。従来のスタジアムとは一線を画し、5GやIoTなどの先端技術を活用することで、観戦体験の質を飛躍的に高めています。

 

さらに、スマートスタジアムではデジタルチケットやキャッシュレス決済の導入が進んでいます。スマートフォンひとつで入場から飲食、グッズ購入まですべてが完結するため、観客の利便性が大幅に向上します。これにより、長蛇の列や現金の取り扱いに伴うストレスが軽減され、より快適に試合を観戦することが可能です。

 

このように、スマートスタジアムは単なる試合観戦の場にとどまらず、テクノロジーの力を借りて観客一人ひとりに最適化された体験を提供する、新しいエンターテインメント空間へと進化しています。今後は、ビッグデータ解析やAI技術の活用により、さらに洗練された観戦体験が実現されることでしょう。
 


スマートスタジアムの歴史と進化

スマートスタジアムの歴史と進化は、ICT技術の発展と密接に結びついています。その起源は2000年代初頭にさかのぼり、当時はWi-Fi環境の整備が主な取り組みでした。観客がインターネットに接続できる環境を整えることで、スタジアム内での情報共有や SNS での発信が可能になりました。

 

2010年代に入ると、スマートフォンの普及に伴い、スタジアムのデジタル化が加速します。この頃から、スタジアム専用アプリの開発が始まり、チケットのデジタル化や座席案内、リアルタイムの試合情報提供などのサービスが登場しました。

 

2015年頃からは、IoT技術の進化により、スタジアム全体をネットワーク化する取り組みが本格化します。センサーを活用した混雑状況の可視化や、エネルギー管理の最適化など、運営効率を高める施策が導入されていきました。

 

2020年代に入ると、5G通信の実用化によってスマートスタジアムは新たな段階へ突入しました。高速大容量の通信環境を活かし、AR/VR技術を用いた没入型観戦体験の提供や、AI によるリアルタイムデータ分析など、より高度なサービスが実現しつつあります。

 

さらに近年では、スポーツイベントの多様化に伴い、スタジアムのスマート化への要求が高まっています。単なる試合観戦の場から、エンターテインメント性の高い複合施設へと進化を遂げています。
 


スマートスタジアムが求められる背景

スマートスタジアムが求められる背景には、グローバル化するスポーツ産業の急速な発展があります。世界中でスポーツイベントの規模と頻度が増加し、それに伴いスタジアムの収容能力と運営効率の向上が喫緊の課題となっています。

 

さらに、観客のニーズが変化していることも要因です。デジタル技術に慣れ親しんだ現代の観客は、単に試合を観戦するだけでなく、より直感的でパーソナライズされた体験を求めています。

 

例えば、スマートフォンを通じてリアルタイムの試合データにアクセスしたり、ARを活用した新しい観戦スタイルを楽しんだりすることへの期待が高まっています。

 

さらに、スタジアム運営の収益モデルも変化しています。従来の入場料や飲食売上だけでなく、デジタル技術を活用した新しい形態のスポンサーシップや広告が登場し、収益源の多様化が進んでいます。

 

ビッグデータを活用した精密なターゲティング広告や、仮想空間を利用した新たなスポンサー露出など、テクノロジーを駆使した革新的な収益化の取り組みが始まっています。
 



スマートスタジアムのメリット

スマートスタジアムのメリットは、観客体験の向上から運営効率の改善まで多岐にわたります。また、主なメリットとして以下のことが挙げられます。

 

●     観客体験の向上

●     混雑緩和とスムーズな運営

●     運営効率の最適化

●     安全性とセキュリティの強化

●     持続可能な運営モデル

●     データ活用による新たな収益源

 

これらのメリットは、スポーツイベントの価値をさらに高め、スタジアムを単なる競技場から、最先端のエンターテインメント空間へと進化させる原動力となっています。

 

今後、テクノロジーの進化によって、スマートスタジアムの魅力やメリットも増えていき、新たな収益モデルも生まれてくるでしょう。  
 


観客体験の向上

スマートスタジアムでは、ARやVR技術が活用されています。例えば、スマートフォンやタブレットをかざすだけで、選手の詳細情報やパフォーマンスデータがリアルタイムで表示されるARアプリケーションです。これにより、観客は試合を観ながら、同時に選手の動きや戦略をより深く理解することができます。

 

また、VR技術を用いたバーチャルシートサービスも注目を集めています。実際にスタジアムに足を運べない人でも、VRヘッドセットを通じて臨場感溢れる360度視点で試合を楽しむことができるのです。これは、遠隔地のファンにとって画期的な観戦方法となっています。

 

モバイルアプリを通じたサービスも、観客体験を大きく向上させています。試合のリアルタイムデータ、インスタントリプレイ、マルチアングル映像など、従来では考えられなかった豊富な情報がスマートフォン一つで手に入ります。

 

さらに、アプリを通じて他の観客と交流したり、試合に関連したクイズやゲームに参加したりすることで、エンターテインメント性が高まっています。
 


混雑緩和とスムーズな運営

キャッシュレス決済の導入は、支払い待機列の短縮に大きく貢献しています。現金の取り扱いが不要になることで、決済時間が大幅に短縮され、売店やグッズショップでの混雑が緩和されます。さらに、モバイルオーダーシステムの導入により、観客は座席から注文を行い、指定された時間に商品を受け取ることができるため、待ち時間の有効活用が可能です。

 

また、リアルタイムでの人流データ分析は、スタジアム運営の効率化に重要な役割を果たしています。IoTセンサーやAIカメラを活用することで、スタジアム内の混雑状況をリアルタイムで把握し、適切な誘導を行うことができます。

 

例えば、トイレや売店の混雑状況をスマートフォンアプリで確認できるサービスを提供することで、観客の待ち時間を最小限に抑えることが可能です。

 

さらに、入場時のデジタルチケット化は、スムーズな入場を実現し、待ち時間を大幅に短縮します。QRコードやNFC技術を利用したモバイルチケットにより、チケットの確認作業が迅速化され、入場ゲートでの滞留が解消されます。また、顔認証技術を活用した入場システムも導入され始めており、さらなる効率化が期待されています。
 


運営効率の最適化

スマートスタジアムでは、IoT技術の活用によりスタジアム全体のエネルギー管理が大幅に改善され、運営コストの削減に大きく貢献しています。

 

例えば、スタジアム内に設置された多数のセンサーが、リアルタイムで様々なデータを収集します。これには、電力使用量、温度、湿度、照明の状態、さらには人の流れなども含まれます。これらのデータは瞬時に分析され、運営者に提供されるため、迅速かつ的確な意思決定が可能となります。

 

特筆すべきは、スタジアム全体をモバイルアプリで一元管理できる点です。運営者はスマートフォンやタブレットを通じて、照明や空調などの設備をリモートでコントロールできます。例えば、観客の少ないエリアの照明を自動的に調整したり、気温に応じて空調の設定を変更したりすることで、エネルギー消費を最適化できます。
 


安全性とセキュリティの強化

スマートスタジアムでは、従来の人海戦術による警備だけでなく、AI技術を活用した高度な監視システムが導入されることで、スタジアム内の安全性が飛躍的に向上しています。

 

例えば、顔認証技術を用いた入場管理システムにより、不審者の侵入を未然に防ぐことが可能になりました。このシステムは、事前に登録された顔データと照合することで、瞬時に入場者の身元を確認します。これにより、チケットの不正利用や転売を防ぐだけでなく、過去に問題を起こした人物の入場を阻止することもできます。

 

さらに、ドローンやロボットを活用した警備体制も注目を集めています。上空からの監視が可能なドローンは、広大なスタジアムの敷地を効率的にカバーし、不審な動きや危険な状況を早期に発見することが可能です。また、自律移動型のセキュリティロボットは、人間の警備員が立ち入りにくい場所や、長時間の監視が必要な場所での警備を補完します。

 

緊急時の対応能力も大幅に向上しています。スタジアム全体に張り巡らされたセンサーネットワークは、火災や地震などの災害をいち早く検知し、リアルタイムでアラートを発信します。これにより、運営スタッフは迅速に状況を把握し、適切な避難誘導や救助活動を行うことがより一層可能となりました。
 


持続可能な運営モデル

スマートスタジアムにおける持続可能な運営モデルは、環境負荷の低減と地域社会との共生を両立させる革新的なアプローチです。この運営モデルは、最新のテクノロジーを活用しながら、長期的な視点で施設の価値を最大化することを目指しています。

 

まず、再生可能エネルギーの積極的な導入が挙げられます。多くのスマートスタジアムでは、太陽光パネルや風力発電システムを設置し、施設で使用する電力の一部または全部を賄っています。

 

廃棄物管理の最適化も、持続可能な運営の重要な要素です。AIやIoT技術を活用したスマートゴミ箱の導入により、廃棄物の収集と分別が効率化されています。さらに、一部のスタジアムでは、AI選別ロボットを用いてリサイクルを行うことで、新規樹脂製造時よりもCO2排出量を低減しています。

 

地域社会との連携強化も、持続可能な運営モデルの重要な側面です。スマートスタジアムは、単なるスポーツ施設ではなく、地域のシンボルとしての役割を果たしています。スタジアムを核とした地域活性化モデルを構築することで、スポーツイベント以外の日でも地域に経済効果をもたらす仕組みづくりが進められています。  
 


データ活用による新たな収益源

スマートスタジアムでは、最新のテクノロジーを駆使することで、観客の行動データを詳細に収集・分析し、それをマーケティング戦略に活用することが可能になりました。

 

例えば、スタジアム内に設置されたセンサーやカメラ、Wi-Fiアクセスポイントを通じて、観客の動線や滞在時間、購買行動などのデータを収集します。これらのデータを分析することで、観客の嗜好や傾向を把握し、より効果的なプロモーションや商品展開を行うことができるでしょう。

 

具体的には、観客の購買履歴や観戦頻度に基づいて、パーソナライズされた割引クーポンや特典を提供することが可能です。ある観客が特定の選手のファンであることがデータから判明した場合、その選手のグッズに関する情報や特別オファーを送ることで、購買意欲を高めることができます。

 

さらに、データ分析によって得られた洞察は、スポンサーシップの価値向上にも貢献します。観客の属性や行動パターンを詳細に把握することで、スポンサー企業に対してより精緻なターゲティング広告の提案が可能になり、広告収入の増加につながります。  
 



スマートスタジアムのデメリット

スマートスタジアムには多くのメリットがある一方で、いくつかの課題や懸念点も存在します。これらのデメリットを理解し、適切に対処することが、スマートスタジアムの成功には不可欠です。

 

現在、スマートスタジアムのデメリットに挙げられる点は、主に以下になります。

 

●     高額な初期投資と運営コスト

●     技術の複雑さと運用の難しさ

●     セキュリティとプライバシーの懸念

●     技術の急速な進歩による陳腐化

●     地域社会の理解が得られないことも

 

これらのデメリットを認識し、適切に対処することで、スマートスタジアムの真の価値を最大化することができるでしょう。技術革新と人間性のバランスを取りながら、持続可能なスマートスタジアムの運営モデルを構築していくことが重要です。

 

また、アスリート視点での課題も忘れてはいけません。過度なデータ収集や分析が選手のプレッシャーを増大させたり、パフォーマンスに悪影響を与えたりする可能性があります。選手のプライバシーや心理的な側面にも配慮した運用も求められるでしょう。  
 


高額な初期投資と運営コスト

最新のテクノロジーを駆使したスマートスタジアムの構築には、莫大な資金が必要となり、特に中小規模のスポーツチームや地方自治体にとっては大きな負担となる可能性があります。

 

初期投資の内訳としては、高速Wi-Fi環境の整備、IoTセンサーの設置、デジタルサイネージの導入、スマートチケッティングシステムの構築など、多岐にわたります。

 

さらに、これらの最新技術を維持し、常に最新の状態に保つためには、継続的な投資が必要です。技術の進歩は急速であり、導入したシステムが数年で陳腐化してしまう可能性もあるため、定期的なアップグレードや新技術の導入が求められます。これらの費用は、スタジアムの運営コストを押し上げる要因となっています。

 

また、投資回収にかかる期間の長さも大きな課題です。スマートスタジアムの導入によって得られる収益の増加や運営効率の向上は、長期的には大きな利益をもたらす可能性がありますが、短期的には投資額を回収することが難しい場合があります。特に、観客動員数が限られる小規模なスタジアムでは、投資回収にさらに時間がかかる可能性があるでしょう。
 


技術の複雑さと運用の難しさ

スマートスタジアムの導入と運用には、高度な技術と専門知識が必要とされ、これが大きな課題となっています。最新のITインフラを既存の施設に統合することは、単に機器を設置するだけでは済まない複雑なプロセスを伴います。

 

例えば、高密度Wi-Fi環境の構築には、電波干渉を最小限に抑えつつ、数万人の観客が同時に高速通信を利用できるよう緻密な設計が必要です。

 

また、IoTデバイスやセンサーの統合、ビッグデータの収集・分析システムの構築など、複数の技術を有機的に連携させる必要があります。これらの技術は常に進化しており、システムの更新や新技術の導入を継続的に行わなければなりません。この複雑さが、運用の効率化を妨げる要因となることがあります。

 

さらに、スマートスタジアムの運用には、高度な技術スキルを持つスタッフが必要です。IT部門だけでなく、施設管理や顧客サービスなど、様々な部門のスタッフが新しい技術を理解し、活用できるようになる必要があります。この技術習得のプロセスは時間と労力を要し、組織全体の負担となる可能性があります。
 


セキュリティとプライバシーの懸念

スマートスタジアムの導入に伴い、セキュリティとプライバシーの問題が重要な課題として浮上しています。最新のテクノロジーを駆使して観客体験を向上させる一方で、個人情報の保護とデータセキュリティの確保が不可欠となっています。

 

スマートスタジアムでは、観客の行動データや購買履歴、位置情報など、大量の個人データが収集されます。これらのデータは、サービスの向上や効率的な運営に活用される一方で、プライバシー侵害のリスクも高まります。例えば、顔認証技術を用いた入場管理システムは、セキュリティ向上に貢献する反面、個人の特定や追跡に悪用される可能性があります。

 

また、Wi-Fi接続やモバイルアプリを通じて収集されるデータも、プライバシーの観点から慎重に扱う必要があります。観客の同意を得ずにデータを収集したり、目的外利用したりすることは、法的問題や信頼性の低下につながる可能性があります。

 

サイバー攻撃のリスクも無視できません。スマートスタジアムは、複雑なITインフラを有しており、サイバー犯罪者にとって魅力的なターゲットとなり得ます。チケットシステムへの不正アクセスや、観客の個人情報の窃取、さらには施設制御システムへの侵入など、様々な脅威が想定されます。
 


技術の急速な進歩による陳腐化

デジタル技術の発展スピードは加速の一途をたどっており、最新のシステムを導入したとしても、わずか数年で時代遅れになってしまうリスクが高まっています。

 

例えば、Wi-Fi技術の進化を考えてみましょう。数年前に最新のWi-Fi 5(802.11ac)を導入したスタジアムも、現在ではWi-Fi 6(802.11ax)やWi-Fi 6Eの登場により、通信速度や同時接続数の面で劣勢に立たされています。このような技術の陳腐化は、観客体験の質に直結するため、競争力維持のためには定期的なアップグレードが不可欠です。

 

そのため、スマートスタジアムの運営者は常に最新技術のトレンドを追跡し、適切なタイミングでの投資判断を行う必要があります。しかし、全ての新技術を即座に導入することは経済的に現実的ではありません。そのため、長期的な技術戦略の策定と、段階的な導入アプローチが重要となります。
 


地域社会の理解が得られないことも

最先端技術を駆使した施設は、地域の誇りとなる可能性がある一方で、地域住民との軋轢を引き起こす要因にもなり得ます。

 

まず、スマートスタジアムの建設や既存施設のアップグレードには、多額の公的資金が投入されることが多く、これが地域住民の反発を招く可能性があります。特に、地域に緊急性の高い他の課題がある場合、スタジアム整備への投資に対して疑問の声が上がるでしょう。

 

また、スマートスタジアムの運営に伴う環境負荷も懸念事項の一つです。大規模なイベント開催時の交通渋滞や騒音、光害などが地域住民の生活に影響を与える可能性があります。例えば、夜間の照明や大型ビジョンの光が周辺住宅地に及ぼす影響は無視できません。

 

一方で、スマートスタジアムが地域経済に与える影響も複雑です。確かに、新たな雇用創出や観光客の増加など、ポジティブな効果が期待されますが、地域の既存商業施設との競合や、イベント開催時以外の施設の有効活用など、いくつかの課題も存在します。
 



スマートスタジアム・スマートアリーナの海外事例

スマートスタジアム・スマートアリーナの海外事例は、最新のテクノロジーを駆使して観客体験を革新的に向上させました。これらの先進的な施設は、世界中のスポーツファンに新たな観戦スタイルを提供し、スタジアム運営の効率化にも貢献しています。

 

ここでは、海外のサッカー、バスケットボールなどで使用されているスマートスタジアムについて、いくつか例を挙げて紹介します。

 

今後は、5G技術のさらなる普及やAI技術の進化により、より没入感のある観戦体験や、パーソナライズされたサービスの提供が期待されます。また、環境への配慮や地域社会との共生など、持続可能性を重視したスマートスタジアムの開発も進んでいくでしょう。
 


Groupama Stadium(グルパマスタジアム)

Groupama Stadium(グルパマスタジアム)は、フランスのリヨンに位置する最先端のスマートスタジアムです。2016年に開場したこの施設は、オリンピック・リヨネのホームスタジアムとして知られていますが、その革新的な設計と運営方法により、ヨーロッパにおけるスマートスタジアムの先駆的存在となっています。

 

収容人数59,186人を誇るこのスタジアムは、サッカーの試合だけでなく、コンサートやその他のイベントにも対応できる多目的施設として設計されています。

 

グルパマスタジアムの革新的な特徴の一つは、モバイルアプリを通じた包括的なサービス提供です。観客はアプリを使って、チケットの購入から座席へのナビゲーション、さらには飲食の注文まで、あらゆるサービスにアクセスできます。
参考:スポーツ庁「海外スタジアム・アリーナ事例集」  
 


Climate Pledge Arena(クライメイトプレッジアリーナ)

Climate Pledge Arena(クライメイトプレッジアリーナ)は、アメリカのシアトルに位置する革新的なスマートアリーナです。2021年10月にリニューアルオープンしたこの施設は、環境への配慮と最新テクノロジーの融合により、世界で最も持続可能なアリーナを目指しています。

 

このアリーナの最大の特徴は、その名前が示す通り、環境保護に対する強いコミットメントです。アマゾンが命名権を取得し「クライメイトプレッジ(気候誓約)」と名付けたこのアリーナは、2040年までにカーボンニュートラルを達成するという野心的な目標を掲げています。

 

施設の運営には100%再生可能エネルギーが使用されており、太陽光パネルと風力発電によって電力を賄っています。さらに、雨水を利用した製氷システムを導入し、アイスリンクの維持に必要な水の97%を雨水でまかなうなど、水資源の有効活用にも取り組んでいます。
参考:スポーツ庁「海外スタジアム・アリーナ事例集」
 


U.S. Bank Stadium(USバンク・スタジアム)

U.S. Bank Stadium(USバンク・スタジアム)は、アメリカのミネソタ州ミネアポリスに位置する革新的なスマートスタジアムです。2016年7月に開場したこの施設は、NFLのミネソタ・バイキングスの本拠地として知られていますが、その先進的な設計と運営方法により、北米におけるスマートスタジアムの先駆的存在となっています。

 

収容人数65,000人(最大73,000人まで拡張可能)を誇るこのスタジアムは、その独特な外観で注目を集めています。北欧バイキングの海賊船をモチーフとしたデザインは、チームの歴史と地域の文化を反映しており、都市のランドマークとしての役割も果たしています。

 

USバンク・スタジアムの最大の特徴は、その環境への配慮と持続可能性への取り組みです。2019年8月、このスタジアムは運営・保守部門においてLEEDプラチナ認証を取得した初のプロスポーツスタジアムとなりました。この認証は、エネルギー効率、水の使用、廃棄物管理、持続可能な購買など、多岐にわたる環境配慮の取り組みが評価されたものです。
参考:スポーツ庁「海外スタジアム・アリーナ事例集」
 


T-Mobile Arena(ティーモバイルアリーナ)

T-Mobile Arena(ティーモバイルアリーナ)は、アメリカのネバダ州ラスベガスに位置する最先端のスマートアリーナです。2016年4月にオープンしたこの施設は、NHL(ナショナルホッケーリーグ)のベガス・ゴールデンナイツの本拠地として知られていますが、その多目的性と革新的な設備により、北米を代表するエンターテインメント施設となっています。

 

収容人数は最大20,000人で、アイスホッケーの場合は17,500人を収容できます。MGMリゾーツ・インターナショナルとAEGライブが共同で運営しており、スポーツイベントだけでなく、コンサートやボクシング、UFCなど、多様なイベントを開催しています。

 

ティーモバイルアリーナの特徴的な点は、最新のテクノロジーを駆使した観客体験の向上です。例えば、T-Mobileの顧客向けに専用の高速入場レーンを設けるなど、通信会社との連携を活かしたサービスを提供しています。また、アリーナ内には充電ステーションが設置され、全ての来場者がスマートフォンを快適に使用できる環境が整っています。
参考:スポーツ庁「海外スタジアム・アリーナ事例集」
 


AT&T Stadium(エーティーアンドティー・スタジアム)

AT&T Stadium(エーティーアンドティー・スタジアム)は、アメリカ合衆国テキサス州アーリントンに位置する最先端のスマートスタジアムです。2009年5月に開場したこの巨大な屋内施設は、NFLのダラス・カウボーイズの本拠地として知られていますが、その革新的な設計と最新技術の導入により、世界有数のスポーツ・エンターテインメント施設となっています。

 

AT&Tスタジアムの最大の特徴は、中央に吊り下げられた巨大なビデオボードです。三菱電機製のこのオーロラビジョンは、開場時には世界最大級として話題を呼びました。長さ60メートル、高さ22メートルの巨大スクリーンは、スタジアムのどの席からでも鮮明に視認でき、リプレイやライブ映像、各種情報を表示します。

 

スマートスタジアムとしての機能も充実しています。高速Wi-Fi環境が整備され、専用アプリを通じてチケットのデジタル管理、座席へのナビゲーション、飲食の注文などが可能です。また、顔認証技術を用いた入場管理システムにより、セキュリティの強化と入場時間の短縮を実現しています。
参考:スポーツ庁「海外スタジアム・アリーナ事例集」
 


State Farm arena(ステイト・ファーム・アリーナ)

State Farm Arena(ステイト・ファーム・アリーナ)は、アメリカ合衆国ジョージア州アトランタに位置する最先端のスマートアリーナです。1999年に開場し、2018年に大規模な改修を経て現在の名称となりました。NBAのアトランタ・ホークスとWNBAのアトランタ・ドリームの本拠地として知られ、バスケットボールの試合時には約19,000人を収容できます。

 

このアリーナの最大の特徴は、最新のテクノロジーを駆使した観客体験の向上です。中でも注目すべきは、巨大な高解像度センターハングスコアボードです。この巨大スクリーンは、試合の臨場感を大幅に高め、観客を試合の熱狂に引き込みます。

 

さらに、State Farm Arenaは高速のWi-Fi環境を完備しています。Xfinityとのパートナーシップにより、以前のネットワークの10倍以上の速度を実現し、観客のオンライン体験を最大限に向上させています。これにより、リアルタイムでの情報共有やソーシャルメディアへの投稿が快適に行えるようになりました。
参考:スポーツ庁「海外スタジアム・アリーナ事例集」
 


Tampines Stadium(タンピネス・スタジアム)

Tampines Stadium(タンピネス・スタジアム)は、シンガポールのタンピネス地区に位置する革新的なスマートスタジアムです。このスタジアムは、Our Tampines Hub(アワ・タンパニーズ・ハブ)と呼ばれる大規模な複合施設の一部として2017年にオープンしました。

 

収容人数5,100人のこのスタジアムは、単なるスポーツ施設を超えた、地域コミュニティの中心的存在となっています。特筆すべきは、スタジアムという名称ではなく「タウン・スクエア」と呼ばれていることです。これは、スポーツイベント以外にも多目的に利用され、地域住民の憩いの場としての役割を果たすことを意図しています。

 

タンピネス・スタジアムの特徴は、最新のテクノロジーを活用した運営方式にあります。例えば、IoTセンサーを活用した効率的な施設管理や、再生可能エネルギーの積極的な導入により、環境負荷の低減に努めています。スタジアムの屋根には太陽光パネルが設置され、施設の電力需要の一部を賄っています。
参考:スポーツ庁「海外スタジアム・アリーナ事例集」
 



スマートスタジアムを地域社会と共存させるには

スマートスタジアムを地域社会と共存させるためには、単なるスポーツ施設としての機能を超えて、地域の経済、文化、防災の中核となる存在へと進化させることが重要です。これを実現するためには、地域のステークホルダーとの緊密な連携と、多面的な価値創造が不可欠です。

 

まず、地域の商業施設や飲食店との連携を通じて、経済活動を活性化させることが重要です。スマートスタジアムを核として、周辺エリアに飲食店や物販店を集積させ、試合やイベントの前後に人々が滞留する仕掛けを作ることで、地域全体の経済効果を高めることができます。

 

また、地域住民が参加できるイベントやワークショップを定期的に開催し、コミュニティの一体感を醸成することも重要です。スポーツイベント以外の日でも、健康増進プログラムや文化イベント、子供向けの教育プログラムなどを実施することで、スタジアムを日常的な交流の場として活用できるでしょう。

 

さらに、スマートスタジアムを災害時の避難所や物資の集積拠点として機能させることで、地域の防災力強化の一翼を担うことができます。平常時から自治体や地域の防災組織と連携し、防災訓練や啓発活動を行うことで、有事の際にスムーズに対応できる体制を整えることが重要です。

 

スタジアムの大型スクリーンやIoT技術を活用した情報伝達システムは、災害時の情報共有にも有効活用できるでしょう。